2007年06月09日

J-P・サルトル 「恭しき娼婦」

ジャン=ポール・サルトル (Jean-Paul Sartre)

「恭しき娼婦」(La putain respectueuse)  芥川比呂志 訳 

     サルトル全集8 劇作集 「恭しき娼婦」 人文書院
     
  
この作品 あまりにもつらい話でした。

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アメリカ南部のある町のある部屋で、リッジーという女性が掃除機をかけている。

彼女は一昨日ニューヨークからこの街に来たばかりだ。

そこへある黒人が尋ね、助けを求める。

話を聞くと どうやらリッジーが汽車で遭遇した出来事の真実を証言して欲しいと嘆願しているのだ。

拘りたくないと その場を追い払うと、彼女の部屋の中から男がやってくる。彼女はその男の素性を知らないらしいが昨夜 床を共にしたらしい・・金のやり取りから彼女は娼婦である事がわかる。だがここでは売春は違法である。

暫くすると タイミングよく警官が尋ね、売春をネタに彼女は逮捕されるが、実は男と警官は・・・

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という感じの始まりですが、アメリカ南部の黒人差別の深刻さを描いた、上下段ありの30ページ程の短編ではありながら、非常に内容の濃い作品でした。

実際僕は、映画や本でしかこの問題を知らないので意見を言えるような立場ではないですが、いつもこの問題を扱った作品は、自分の心の中へ、とてつもない問題意識が強烈に問いかけてきます。

そしていつも考える事が、こんな事が本当にあったのだろうか!自分が目の当たりにしていないだけなのかって・・

人種差別にかかわらず、もともと強者の論理に弱者は従わざるを得ないことが大半だ。反発すれば余計な批判を浴びて、時には威圧的に 時には尤もらしい理由を手土産に、白も黒に塗り替えさせられる事なんて 有史以前から現在に至るまで 身近な所でも日常的にずっと繰り返されている。

優位な立場を維持し続ける事は不可能だし、完璧な事や絶対的な正義なんて 本当はあるはずないのに・・・

なんて・・また今回も重い内容になってしまいましたが、サルトルを読むたび、常に自らの行いに問いかけ、また社会に対しての問題意識を持たされます。
普段の心得として 何事にも常にそれは本当に正しいのか?”っていう意識をもつ上でも、擬似的な教訓としても、サルトルの作品は、一生に一度は読んでもよいのではないかと思います。(のめりこんで行き過ぎない程度に・・)


posted by visualization at 06:57| Comment(2) | TrackBack(2) | 書籍 / 全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
突然お邪魔いたします。
アカデミック・シェイクスピア・カンパニー(ASC)という劇団の彩乃木崇之と申します。
実は私どもの4月の次回公演で、「恭しき娼婦」を上演いたします。
もしよろしければ、ぜひいらしてください。
お待ちしております。
Posted by 彩乃木崇之 at 2008年02月29日 06:09
コメント遅れました・・

恭しき娼婦ですか!
この作品は非常に考えさせられます。特に現代の日本では想像することすら難しいほどの問題が投げかけられていました・・
舞台頑張ってください!!
Posted by 管理者 at 2008年03月04日 08:51
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LA といえば
Excerpt: こんなのもありますね。
Weblog: LA?
Tracked: 2007-06-09 08:00

サルトル といえば
Excerpt: こんなのもありますね。
Weblog: サルトル?
Tracked: 2007-06-13 18:04
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