2007年05月13日

小流智尼 「無用の犯罪」

幻の探偵雑誌 2「探偵趣味」傑作選 (ミステリー文学資料館・編)

第十一回

「無用の犯罪」 作:小流智尼(おるちに)
           ※のちに「一条栄子」に筆名を改めた。



勤務評価が非常に良好な郵便屋の「猿爺」さんであったが、

ある日。

けわしい山道を徒歩で輸送中・・
前日に辞職を言い渡されていたせいか、いつもより行嚢(こうのう:郵便物の輸送に使う袋。)が重かったせいか、中の郵便物の中に 現金があると確信し、周囲を気にしながら、つい行嚢を開けてしまった。

其処には予想外に高額な現金が! しかも札束であった。

猿爺は・・



この後「猿爺」さんはどうしたのでしょうか。
この先はさすがに書けません・・

ハラハラドキドキしました・・そしてヒッチコック監督の「サイコ」の冒頭の部分にも こんな話がありましたね〜


所で行嚢(こうのう)ですが、僕は以前に「松本泰」氏の短編作品で「赤行嚢の謎(あかこうのうのなぞ)」という話を読みましたが、まさに推理小説で 僕にはかなり印象に残った作品がありました。これは「春陽文庫」「探偵CLUB」シリーズ「清風荘事件」の中の一編で読みましたが、機会があったらぜひ紹介してみたいと思います。
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2007年05月11日

本田緒生 「ローマンス」

幻の探偵雑誌 2「探偵趣味」傑作選 (ミステリー文学資料館・編)

第十回

「ローマンス」 作:本田緒生


この話は 同じ会社で働く三人の男女が、一つの事件を、一人一人の立場にたって書かれた 三話構成のストーリーです。(といっても「芥川龍之介」氏の「藪の中」や「宮部みゆき」さんの「理由」とは全く違います。)



まず一人目が「山本」君の話で・・
ある日。山本君は、昼食を済ませて デスクに戻ってくると、机の上には一枚の紙切れが置かれていた。其処には 意味不明の暗号めいた文章が書かれていた。彼は「シャロック・ホルムズ」(当時の探偵小説ではシャーロック・ホームズをこう訳していのが普通のようです)のニックネームを持っているほどの探偵趣味があり、さっそく解読すると、今日ある公園で 午後六時に なにか事件があり 助けて欲しいらしい・・・

と最初はこんな感じで始まります。
そして二人目「酒井」君、三人目「片岡春子」嬢と続きます。(これ以上は 話がわかってしまうので書けませんが・・・)



とにかく面白い!TVドラマで見たらさらに面白そうな話です。
最後まで読んでみれば、なるほど「ローマンス」ですね〜と納得する内容です。

まさに「モンタージュ」って感じで、三つの話を順番を変えて読むと、全く違ったストーリーに感じてくる作品でした。
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2007年05月10日

久山秀子 「隼お手伝い」

幻の探偵雑誌 2「探偵趣味」傑作選 (ミステリー文学資料館・編)

第九回

「隼お手伝い」 作:久山秀子


この作品は 女スリ「隼お秀」 (はやぶさおひで) の活躍するシリーズ物の一つです。

作者はペンネームで、男性の作家さんです。

かなり軽快な展開で、しかも小説というより 芝居の台本のように ほとんどセリフで、掛け合いになっています。


話はいきなり 「おいおい」 と呼び止められる所から始まり、それは「隼お秀」が財布を盗んだ後 すぐに呼び止められたのだ!

その人物は 刑事かとおもいきや、私立探偵「富田達観」である。

探偵は 盗みなぞはそっちのけで、自分の依頼された事件を 手伝ってもらう事から 事件の謎解きが始まります。

事件は 女流義太夫「和千代」(当時 女流義太夫は非常に人気だったようです)が、三日前に毒殺された。その事で 楽屋へ行って 事情を聞いて来て欲しいと頼まれる・・・



こういった 序盤の展開ですが、原本を読むと 当時の浅草界隈の雰囲気が かなり伝わってきます。(彼女は浅草を縄張りにしているようです)

探偵が 女スリ「隼お秀」の 巧みな演技力をうまく利用し、事件を解いていく。とにかく探偵は、「隼お秀」をよく知り尽くしています。そして、お互いの役割分担がよく出来ている・・

探偵は 初めから 計算ずくでやってたのかって思うと悔しくなってしまうくらいです。


出来れば 他の話も読んでみたい・・どの作者もついそう思ってしまうのがつらいところです・・・

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2007年05月09日

橋本五郎 「自殺を買う話」

幻の探偵雑誌 2「探偵趣味」傑作選 (ミステリー文学資料館・編)

第八回

「自殺を買う話」 作:橋本五郎


現在失業中の主人公は、新聞の案内広告の雑件のくだりに「自殺買いたし・・」という奇抜な広告を発見し、なんとその広告主は友人の姓名と同じで、しかも町名まで同じであった。

彼は気になって、その画家の友人「野々村新ニ」君のところへ行く・・


と、こんな感じの始まり方で 序盤から先の読めない展開。さらに友人宅へ行ってからの彼の話がまた謎が深まります。

野々村君の食うや食わず時代の話が特に印象的でした。

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2007年05月05日

山下利三郎 「流転」

幻の探偵雑誌 2「探偵趣味」傑作選 (ミステリー文学資料館・編)

第七回

「流転」 作:山下利三郎


なんとも言えないくらい寂しい話でしたが、
いい話でした・・


三角関係の末に主人公は、一人旅に出る事を決意する。
ある日彼は手紙を留守中の彼女の家に・・
そして駅まで行くが、ついふらふらとまた彼女の家に戻ってしまう。
そこでは物々しい状況に・・


と最初はこんな感じです。
とくに雰囲気がとても肌に伝わってくる感じの文章でした。
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2007年05月04日

春日野緑 「浮気封じ」

幻の探偵雑誌 2「探偵趣味」傑作選 (ミステリー文学資料館・編)

第六回

「浮気封じ」 作:春日野緑



主人公「青野大五郎」は歳は三十代で 妻のある身であったが、
四五日前 大阪から単身 東京へ上京していた。

その日 妻から十七八枚の分厚い手紙が送られてきた。

それには、ある人から夫(主人公)が妻にはたらいた裏切り行為を詳細に聞かされたという事が書いてあり、そのあとには妻から自分(主人公)に対する悪口雑言が書き連ねてあった・・



と始まりはこんな感じです。
タイトルからして、当然意味ありげな感じがしましたが、かなりリアル!かつ現在でも身の回りでありそうな話なので、内心ヒヤって感じる読者もいるのではないでしょうか?!

その後の彼がとった行動も危なっかしい・・でもやってる人いそうな気が・・

また終わり方も恐ろしく、その後どうなったか気になってしょうがないです・・
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2007年05月03日

水谷準 「恋人を食べる話」

幻の探偵雑誌 2「探偵趣味」傑作選 (ミステリー文学資料館・編)

第五回

「恋人を食べる話」 作:水谷準


なにやら恐ろしい題名ですが、そういうホラーな話ではありませんので・・


主人公の友人「的場悠助」は、あらゆる世間的な交渉を絶って暮らしていたが、最近病床に横たわっていた。

ある日。彼が亡くなる四五日前。彼の家でイチジクの実を食べるようにとしきりに勧められた。
暫く経って、彼から俄かに信じ難い話を聞いた・・彼はある歌劇団の女性に入れ込んで、その後 その女性と同棲していたと言う・・


と、こんな感じの始まりです。
初めはタイトルがタイトルだけに冒頭部分の、イチジクの実がじつは・・と思わせるような表現に惑わされましたが、本来のテーマは別の所にあるので、バラしても差し支えないでしょう。

かなり寂しいストーリーでした。

そしてこの話。幸せとは何かって事を考えさせられました・・
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2007年05月02日

城昌幸 「墓穴」

幻の探偵雑誌 2「探偵趣味」傑作選 (ミステリー文学資料館・編)

第四回

「墓穴」 作:城昌幸


状況の描写がとても的確かつ非常に短くまとめられていて、15ページ程の作品とはとても思えないほど内容の濃いミステリーでした。

まず舞踏会のシーンから始まり、ホールのシャンデリアが映ったかと思うと そのシャンデリアが落下してくる!・・実はめまいがしていて、ふと倒れこんだというところの描写からいきなり始まりました。

これは簡単な説明でしたが、実際の文章を読むと一目瞭然。映画やドラマを観ているようで、一気に世界に引き込まれました。

そして常にダンスホールから聞こえるサキソホーンのジャズミュージックが、ホールからの距離を示すように 随所に書かれていて、本を読んでいるはずなのに まるで曲が流れているような錯覚がしました。


主人公は、シャンパンを飲みすぎたのか 踊りすぎたのか、ふらふら外へ出る。
道に迷いながらも歩いていると、ふと ある部屋の 扉の隙間から漏れる灯りが気になった・・覗いてみると、なんと今にも殺人を犯そうとしている現場が!

と言った感じの始まりでしたが、一行々に深い意味が込められていて息を抜けない内容です。

城昌幸氏はショートショートの先駆者とも言われているそうですが、他の作品も読んでみたいです。
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2007年05月01日

XYZ(大下宇陀児) 「老婆三態」

幻の探偵雑誌 2「探偵趣味」傑作選 (ミステリー文学資料館・編)

第三回

「老婆三態」 作:XYZ(大下宇陀児)


この話は全く関係性のない三人の老婆の話。世間がいかに老齢の方に対して無関心なのか という事を極端な例で示しているように感じました。

とても胸が痛くなる話です。(これ以上はあまり内容に触れたくない感じです。)

個人的にもあまりお勧めの話では無いので、ここまでにしておきます・・ごめんなさい。
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2007年04月30日

角田喜久雄 「豆菊」

幻の探偵雑誌 2「探偵趣味」傑作選 (ミステリー文学資料館・編)

第ニ回

「豆菊」 作:角田喜久雄


話の筋はヒッチコックの映画のようにサスペンスなのに、文章は 韻を踏んだように詩的な文章で、まるで昔のフランス映画を観ているような感覚でした。

そして所々に「我が巴里よ」の歌や、それを感じられる詩的な文章も見受けられました。この作品が発表された1927年は、「我が(もしくは吾が)巴里よ」の「レビュー」がありました。


ある日男が、おそらく当時の「我が巴里よ」(モン・パリ)のレヴューを観た帰りであろうか、余韻に浸りながら歩いていると、一台のクライスラーが衝突したらしく止まっていた。そこに乗っていた女性は 運転手が逃げてしまったと言う。そこで男が運転して送っていく事に・・


短い作品ですが、映画やTVドラマで観てみたいな・・
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2007年04月29日

横溝正史 「素敵なステッキの話」

幻の探偵雑誌 2「探偵趣味」傑作選 (ミステリー文学資料館・編)

第一回

「素敵なステッキの話」 作:横溝正史


あの「金田一耕介シリーズ」を書いた作者とは思えないほど、ほのぼのとした作品でした。

作者が編集長時代に書いた作品です。

雑誌社で働く「本田準」は、ある日 懇意にしてもらっている叔父にステッキをもらった。
そのステッキを、仕事で訪問した小説家の家に忘れてしまった・・二週間程あとに、懇意にしている友人が なぜかそのステッキを持っていた・・また居合わせた別の友人がそのステッキをくれといってもらっていき、又その一週間後には訪問した画家が持っていて・・

それでいて当の持ち主本人は この状況を楽しんでいることが この話をほのぼのとさせている感じがします。そして、ステッキによって いやな仕事まで乗り越えられてしまうなんて 作者の願望でしょうか・・
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2007年04月28日

幻の探偵雑誌2「探偵趣味」傑作選

ようやく「ぷろふいる」傑作選全11作品が終わりました。
どの作品も非常に魅力のある作品で、言葉で表現してみたいなと思いました。今後の朗読作品の選考に、非常に参考になりました。


そして次回からは、

幻の探偵雑誌2「探偵趣味」傑作選」
         (ミステリー文学資料館・編)

を書いていこうと思います。

この雑誌は大正十四年〜昭和三年まで刊行された雑誌です。当時の雑誌の写真には「小酒井不木」「甲賀三郎」「江戸川乱歩」編集(編集のいきさつ等については最初の8〜10ページに書かれています。)となっており、25センって書いてあります。

かなり超短編!異なる作者で23作品あります。そして中には一幕物の戯曲まであります。

読むのが楽しみです。
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